『リンカーン/秘密の書』
先月後半は『宇宙刑事ギャバン』『ザ・レイド』『危険なメソッド』とステキな映画を沢山観たので記事にするぞーなどと思っていたらいつの間にか11月だ!
というわけで映画の日に公開された『リンカーン/秘密の書』を観に行った。
わざわざお台場に観に行ったのだけど平日だからかガラガラ。映画の日が平日なら、デートスポットにある映画館は穴場だということが判明した。多分来月の1日はとんでもないことになっているだろう……
それはそうと『リンカーン/秘密の書』最高に面白かった!
リンカーン大統領は、実はヴァンパイアハンターだった!の一文だけでワクワクするのだが、これをハリウッドが全力で金をかけて製作したのだから驚きだ。
どうやら原作本があるらしい。制作に参加したティム・バートンは「バットマンをイメージした」とか言ってるけどバットマンはこんなムダにカッコつけて斧をブンブン振り回したりしねーよ!
バートン監督の頃からバットマンがカッコつけていたのはバットモービルぐらいだったじゃないか!
映画はあたかも伝記映画を装って若かりし頃のリンカーンから描き始める。
史実に基づき、幼い頃に母を亡くしたリンカーン……しかしその母を殺したのが実はヴァンパイアだった!
このほか、史実に基づいているのをいいことに至る所にヴァンパイアを配置するという歴史の捏造を何度も繰り返す。すげー、リンカーンってマジでヴァンパイアハンターだったんだ!
というわけで、謎の助っ人の力を借りてハンターになるためのトレーニングを積むリンカーン。この助っ人(デビルズ・ダブルの片割れ、ドミニク・クーパー!)の言葉も一々カッコよくて「力は憎しみからは生まれない。真実から生まれる」などと言うや否やリンカーンが巨大な樹木をバチコーン!とするのだから、言葉の力は偉大である。
さて皆さんも気になるであろう、劇中でのヴァンパイアの設定について。
『ブレイド』『デイブレイカー』では日光を浴びた途端パチパチと爆ぜて灰になったり、『トワイライト』では肌がキラキラ光るだけで全国のホラー映画ファンの逆鱗に触れたり、半年ほど前の『ダーク・シャドウ』では日傘とグラサンでなんとかなったりしていたわけだが……
今回はまさかの日焼け止めだ! 当時発明されたばかりの日焼け止めを全身に塗れば日中の活動にも支障を来たさない! ってことは日焼け止めはヴァンパイアの発明だったのだ!
きっと夏に日焼け止めのCMに出演している女優も実はヴァンパイアなのだろう。私の記憶では北川景子あたりが怪しいぞ!
ヴィジュアル面においては、3D効果を上手く利用した瞳の演出がベタだが印象的。瞳だけが光って浮かび上がっているように見せることは、3D映画でしか出来ない方法なので必見!
追記ではお待ちかねのアクションについて。
『ウォンテッド』の監督らしい、ハッタリ全開のトンデモ斧アクションに酔いしれろ!
予告編でもお分かりの通り、リンカーンさんのメインウェポンは斧である。
斧で激しいアクション(?)するキャラなんてジェイソンとかどこかの殺人鬼ぐらいだったので、この時点でもう斬新さは約束されているようなものだ。
ところがどっこい! とりたてて斧である必要はそんなに感じられない!
木こりの使うような斧をステッキのようにクルクル回しながら、次々にヴァンパイア達を切り株状態にしていく様はまさにハンターなわけだが、史実さえなければ斧じゃなくても良かった気がする。
見せ方は流石の一言。スローモーションの多用も、3Dなら飽きることはない(つくづく3D向けの映画だなあ!)。斧だけじゃなく自分自身もグルグル回転しながらさりげなくヴァンパイアに斧をあてがう若き日のリンカーン、カッコよすぎる……
ところで、この映画は主に若き日のリンカーンを描いている。大統領になる前の、弁護士を目指してせこせこと法律のお勉強をしていた頃だ。
そして夜な夜な明け暮れていたヴァンパイアとの死闘の日々が、リンカーンが大統領を志すキッカケにもなっているという恐ろしい歴史を明らかにしている。
こうなってくると大統領就任演説の「人民の、人民による、人民のための政治」って要するに「ヴァンパイアなんか要らねえクソ食らえだ死ねー!」ってことになるのでは……と思ったが大体その通りだった! リンカーンは斧を言葉に持ち替えて、自分の目の前だけでなく、アメリカ全体を救おうと決意したのだ!
「えっ、じゃあ大統領になったリンカーンは戦わないの?」と思う人がいるだろう。
その答はちゃーんと劇中で用意されているのでさっさと観に行くことをオススメする!
奴隷制を欲するヴァンパイア達と、奴隷解放を宣言したリンカーン。やがて引き起こされる南北戦争……
そこでリンカーンは何を思うのか、どう行動するのか。主役の俳優のクリソツすぎる老けメイクも見所だぜ!
ラストに漂う余韻の儚さ、血で描かれたアメリカ大陸を映すエンドクレジット、ヴァンパイアハンターだったというトンデモ設定でありながら、大統領となったリンカーンの諸々もしっかりと描ききっている意外と誠実な作りなのにアクションシーンだけ良い意味で頭が悪い快作の登場だ!
『アイアン・スカイ』みたいなトンデモ歴史改変ムービーが好きな人は劇場に急ぐべし!
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